南スーダンのPKO活動に派遣される自衛隊員 (c)朝日新聞社
南スーダンのPKO活動に派遣される自衛隊員 (c)朝日新聞社

 フランスのパリで起きた同時多発テロで、EUが11月17日、初めて相互防衛条項を発動した。今後は米国への9・11テロで集団的自衛権を発動した北大西洋条約機構(NATO)の対応が焦点となる。

 フランスが過激派組織「イスラム国」(IS)の「全滅」を呼びかけ、国際包囲網が敷かれる中、日本も何らかの役割が求められる可能性は高い。元内閣官房副長官補の柳澤協二氏はこう分析する。

「地上軍の派遣は、オバマ米大統領は今のところ否定している。ただ、空爆だけではシリアの内戦が治まるとは思えない。今後、地上軍を派遣すべきとの議論も出てくるだろう。国際社会がシリアの内戦にどう対処するか。地上軍の派遣ということになれば、何らかの支援を求められることは間違いないだろう」

 ISは新たなビデオ声明を発表し、米国の首都ワシントンを攻撃すると警告。

 そんな中、共和党の大統領選指名候補獲得を目指すジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事はIS打倒のため、シリアなどへの地上部隊の派遣を声高に主張した。

 米国がISに攻撃を受ければ、慎重なオバマ大統領も地上戦に突入せざるを得なくなる。安保法制を批判してきた軍事評論家の前田哲男氏はこう懸念する。

「アメリカがテロの標的となったとき、安倍政権が安保法制を発動する可能性がある。戦闘地域への捜索・救援活動などの任務があって、この場合、戦闘現場であっても活動を継続することができるようになります」

 憲法違反との批判を振り切ってまで安倍政権が成立させた安保法制で、自衛隊がいよいよ地球の裏側まで米軍に駆り出される可能性が現実味を帯びてきた。IS取材でシリアなど現地をルポしたアジアプレスの坂本卓氏も指摘する。

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