高齢者の10%が「うつ」経験者 抗がん剤や胃薬で発症も

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仮面うつ病とは「からだの病気という仮面をかぶったうつ病」(※イメージ)

仮面うつ病とは「からだの病気という仮面をかぶったうつ病」(※イメージ)

新・名医の最新治療 2016 (週刊朝日ムック)

朝日新聞出版
定価:700円(税込)

978-4022775108

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 高齢者うつとは、高齢者がかかるうつ病のことで、一般的には「何事にも興味がわかない」「ゆううつな、沈んだ気分」「意欲や集中力がない」「寝つきが悪くなる」「食欲がない」などの症状が2週間以上続く。

現在発売中の『週刊朝日MOOK 新「名医」の最新治療2016』の中で、順天堂大学順天堂越谷病院老年期うつ病専門外来の馬場元(ばばはじめ)医師は言う。

「もともとうつ病は診断基準にややバラつきがあります。高齢者うつ、特に65歳以上の老年期うつは診断が難しく明確な有病率を出すのが難しいですが、だいたい高齢者の10%程度はうつ病にかかっている、あるいはうつ病を経験したことがあるといわれています」

 2015年10月の総務省統計局による推計では、65歳以上の高齢者人口は3387万人とされているため、高齢者うつの患者数は、未受療患者や治癒患者を含めると340万人以上と推計できる。

 高齢者ならではのうつ病の原因、発症の要因はあるのだろうか。馬場医師によると、高齢者のうつ病の要因として、[1]脳の機能低下、[2]心理・社会的要因、[3]身体疾患とその治療に使用する薬剤の影響などが挙げられるという。

 最大の要因は加齢による脳の変化だ。脳は加齢とともに萎縮し、機能が低下する。これは人間として避けられない生理的な変化だ。そこに脳梗塞など脳の血管障害を起こすと、脳の血流が悪くなり機能が低下する。すると、起きた出来事に対する柔軟な対応、問題の回避や解決が困難になる。

 そこへ高齢者ならではの心理的要因や身体機能の衰えが付加される。心理的なストレスのもっとも大きなものが「喪失体験」だ。

「たとえば、配偶者など身近な人が亡くなるということや退職、子どもが巣立って親の務めを終えるなど社会的役割の喪失もあります。さらに健康な自分が失われる、目が悪くなる、耳が聞こえにくくなる、物覚えが悪くなる、昔はできていたことができなくなるなど、身体機能の喪失も大きなストレスになることがあります」(馬場医師)

 加齢にともない増加するがんや脳卒中、心筋梗塞、甲状腺機能低下症、慢性関節リウマチ、パーキンソン病などの病気によって、うつ症状が出やすくなることがある。また、抗がん剤や肝炎の治療に使用するインターフェロン、高血圧を治療する降圧剤や胃薬、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の治療薬など、病気の治療に用いられる薬剤によってうつ症状が引き起こされることもあるという。


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