旭化成内部では「杭が届いていたのに傾いていたとなると、この話は振り出しに戻る」との不満の声が出ている。危機管理コンサルタント会社リスク・ヘッジの田中辰巳代表は言う。

「旭化成建材1社の問題として責任を押し付けている印象を受けますが、消費者の信頼を失うだけです。消費者は三井住友建設や旭化成の名前がついた物件を避けるようになるでしょう」

 今や旭化成建材以外の業者でも杭打ちデータ偽装が発覚している。東京商工リサーチの原田三寛情報本部部長はこう指摘する。

「問題が建設業界全体に広がると、国土交通省はトレーサビリティーや管理を厳格にせざるをえない。そうすると建設コストがかさみ、下請けとなる中小企業にしわ寄せがいきかねません」

(本誌・長倉克枝、永野原梨香)

週刊朝日 2015年11月27日号