プロ24年目の谷口徹選手が5年後の東京オリンピック出場を目指すことを公言した。丸山茂樹氏は、素晴らしいことだとこういう。

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 丸山茂樹ジュニアファンデーションゴルフ大会優勝の資格でマンデートーナメント(主催者推薦選考会)を初めて突破した臼井麗香さん(茨城・日本ウェルネス高2年)。日本女子ツアー「樋口久子Pontaレディス2015」(10月30日~11月1日、埼玉・武蔵丘GC)の本戦は、惜しくも予選落ちに終わってしまいました。

 残念ですけど、プロと一緒に回って、本当にいい勉強をしたと思いますよ。

 僕が初めてプロの試合に出たのは高校2年、16歳のときでした。結果は散々でしたけど、楽しかったのを覚えてます。

 同じ組で回らせてもらった合田洋(ごうだひろし)さんが研修生からプロになりたてで。初日の最初のホールで、かなり緊張されてたんでしょうね。合田さんがなかなかティーにボールを乗せられなかったんです。「ああ、プロの世界ってこんなに厳しいんだな」と思いましたね。

 1994年に合田さんが29歳で日本プロゴルフ選手権で優勝する姿を目にして、僕も感動しました。そして、「自分もいっぱい、いい経験を積まなきゃな」と、ひしひしと感じましたよ。

 その試合では合田さんが最終日、18番のバンカーからパターで打ったシーンが語りぐさになってます。すごい決断を実らせて、ジャンボ(尾崎将司)さんに競り勝ったんです。

 
 いまはなかなかお会いする機会もないですけど、会えばいつも仲よくしてくださって。「マルもあのときは16歳だったよな」なんてね。

 僕が初めて出たプロの試合のとき、深堀圭一郎君と一緒に試合会場に行ったんですけどね、もう予選を通るとかなんとか一切考えてなくって、旅に出た感じでした。だから緊張も何もなかったなあ。

 その試合で、牧野裕(ひろし)さんがホテルのスイートルームに泊まってらっしゃったんですよ。そこに深堀と僕を呼んでくださってね。ルームサービスをとって歓迎してくれたんです。ケーキもあって、僕は思わず、「甘い(スイート)部屋で甘いものですか」なんて言っちゃって。

 あのとき思いましたよ。「早く一流のプロになって、こんなでっかい部屋に泊まって、後輩を呼んでごちそうしてみたい」って。余計な思い出の話ばっかしちゃいましたけど、臼井さんもきっといろんな思い出ができたはずです。それは今後のゴルフ人生の財産になりますからね。頑張ってほしいです。

 話は変わりまして、大ベテランの谷口徹さん(47)が試合のとき、報道陣のみなさんに「東京オリンピックに出たいと思ってる」っておっしゃったみたいです。

 最近は筋力トレーニングもすごく頑張ってて、その効果が出てるって話は伺ってましたけど、すごいこと言いました。谷口さんは僕の2学年上で、2020年の東京オリンピックのときは52歳なんですけどね。

 実現性はどうあれ、素晴らしいことだと思いますよ。谷口さんはこれまでも高い目標を持って、それを公言して、自分にプレッシャーをかけてきた人ですから。

 最後に僕自身のことを。ダンロップフェニックス(11月19~22日、宮崎・フェニックスCC)の出場が決まりました。いまの自分なりに、精いっぱいやってきます!

週刊朝日 2015年11月20日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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