室井佑月 札束で黙らせようとする政治家は「下品度MAX」

しがみつく女

室井佑月

2015/11/13 07:00

 菅官房長官は、中国が申請した「南京大虐殺の記録」について、日本政府が懸念を伝えたにもかかわらず、ユネスコが世界記憶遺産に登録したから、分担金の支払い停止を検討すると脅しをかけた。昨年1月の名護市長選で、当時、自民党の幹事長だった石破さんは、「500億円の名護振興基金」を出すっていい出した(負けたから出さなかった)。環境相だった石原伸晃さんは、福島第一原発事故に伴う汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設をめぐり、「最後は金目でしょ」とボロッと本音を吐いてしまった。

 そうそう、自民に楯突くマスコミには、(資金源である)スポンサーに圧力かけろ、というチンピラみたいな議員もいたっけ。

 自分の意見が正しいと思うなら、相手を必ず説得できるはずと考えないか? 説得する手間暇が惜しいのか? それとも自分の意見の正しさの根拠不足? 説得のテクニック不足?

 正しさの根拠不足、テクニック不足であるのなら、なぜそこを猛省しないのか? というか、彼らが切ろうとする札びらも、自分たちの金じゃない、あたしたちの血税だ。下品度MAXですな。

 いずれにしても、札びらで相手の顔をひっぱたくような行為は、差別や暴力といった類のものだと思う。

 ここで肝心なのは、それに負けてしまった人を叩くことが正義じゃないということ。あたしたちはいつもそこで間違ってしまいがちだ。

 弱者同士の揉め事に持ち込んで、本物のワルは責任放棄し逃げきる。もういいかげん、あたしたちも学ばなきゃ。

週刊朝日  2015年11月20日号

室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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