「取締役として経営を監視する立場だった人が、当時の問題を調べるための調査にかかわっている。そのこと自体が利益相反と指摘されても仕方がない。グローバル企業であれば利益相反を避けるような調査を行うはずです。平居氏はメンバーから外れるべきだったでしょう」

 会見で指摘されると平居副社長は「役員報酬はもらっていませんでした。問題ないと判断したのだと思います」と開き直り。ところが少したって「すみません、役員報酬はもらっていました」と説明を二転三転させ、失笑を買っていた。

 11月6日に発表した中間決算では、建材事業を下方修正したものの、好調を維持している。

「杭工事の新規受注をストップしているうえ、調査対応に人をとられており、杭工事以外にも影響が出ています」(担当者)

 そして「今回の問題を受け杭工事などで管理コストが増大し、全体のコスト増につながる懸念があります」(東京商工リサーチの原田三寛情報本部部長)。

 さらに補償問題に発展したときの影響は計り知れない。行政処分を受け、長期の営業停止となれば、建材事業自体が傾きかねない。旭化成の住宅・建材事業は、売上高の約3割を稼ぎ出す主要部門のひとつ。事態は深刻だ。

(本誌・長倉克枝)

週刊朝日  2015年11月20日号