ヒロインの仕事は、恋愛ゲームアプリの制作だけど、こんなベタ展開のアプリなら、ゲーマーなめてんのかと言いたくなるレベル。ただね、第1話のラストで脚本家・江口(かつては恋愛ドラマのカリスマだったという設定)が、言うんですよ。「ドラマだったら、この辺に『つづく』って出てる頃かな?」。確かに、江口が指した場所に「つづく」の文字。すると篠原が言う。「それって、ちょっとださくないですか~?」

 つまり、わかってやってるんだと。恋愛ドラマの登場人物が、ドラマの中で恋愛ドラマを語る。ありがちな展開も、すべてメタフィクションな視点なのだと……って、どうでもいいや、そんなこと。斎藤工のゾンザイな使い方しかり、名作ドラマのあるある展開拝借しかり。フジテレビが今まで作り上げてきたものを、自らどんどん安易に消費してしまうもったいなさに、ちょっとさみしくなるだけ。

週刊朝日 2015年11月13日号