「値下がりしにくい」タワマン・マンションランキングで、首都圏トップ20入りしているプラウド南青山(データ出典:住まいサーフィン) (撮影/写真部・長谷川唯)
「値下がりしにくい」タワマン・マンションランキングで、首都圏トップ20入りしているプラウド南青山(データ出典:住まいサーフィン) (撮影/写真部・長谷川唯)

「『うちのマンションは大丈夫か』という電話が各社にかかっている。マンションは、まだこの世に出ていない段階で顧客と契約し、造って売る仕事。建設のプロセスを信用されなくなれば仕事は来なくなる。だから普通の技術者ならばデータ偽装は絶対にやりません。後のことを考えれば、改ざんしていいことは一つもない」(ゼネコン関係者)

 三井不動産グループが販売した横浜市都筑区の大型マンションが傾いた問題は、騒動が収まるどころか拡大しかねない情勢となってきた。素人には見ても到底判断がつかない問題。マンション族はもちろん、最近盛んな「相続対策」でタワーマンションの購入を検討中の人にも頭の痛い問題だ。マンションは「買い」なのか、どんなマンションであれば価値が落ちないのか。取材を進めると、かすかな光明も見えた。そう、大きな不具合も出さずに生き抜いてきた「サバイバー中古」こそ買いなのだ。

 実は中古マンション市場はいま、空前のモノ余りの状況になりつつある。というのも新築価格が過去最高のレベルが続き、中古相場も上昇。人口減が顕著になる2020年問題を背景とする「最後の売り時」ムードも拍車をかける。東日本不動産流通機構によると、人気が高い東京都心3区(千代田、中央、港)の新規登録戸数はとくに増えており、9月は前年同期比55.2%増の1231戸だ。

 そのモノ余り物件から、どうすればより良い「サバイバー中古」を見つけ出せるのか。購入のリスクは少しでも避けたいのがホンネだ。健康体の見極め方を聞いて回ったところ、例えば今回注目が集まった基礎の杭について、役立ちそうな話があった。あるゼネコン関係者は言う。

「超高層(タワーマンション)は直接掘って、その場で杭を造るので、杭の長さが足りないからデータを改ざん、ということがない」

 タワマンの杭で「データ改ざん」などあろうものならそれこそ大騒ぎだが、違うようだ。杭の専門家によると、杭には大きく2種類あり、一つは既製品の杭。一般的には3階から15階の建物に使い、運搬時の規制で、1本の長さは15メートルまで。硬い支持層まで届かないとわかっても、その場ですぐに対処はできない。既製品が届かず、データを改ざんしたのが横浜の問題だ。

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