「4年前に夫を亡くしてしょんぼりしていたら診療所の先生にここを勧められたの。普段、話さない人ともおしゃべりができて、本当に来てよかったわ」

　山間部や農村部は「閉鎖的」と言われることもあるが、移住を成功に導くのは、先輩移住者の存在だ。

「津金りんご」で有名な、山間部の同市津金地区。

　半年ほど前、ある民家の離れに関西から50歳代の女性Aさんが移住してきた。女手一つで育ててきた娘が東京で就職し、自然の中での暮らしをしたいと移り住んできたという。

　そんなAさんの相談を受け、地元のお祭りや近所の人たちとの飲み会に誘ったのが、4年前に東京から移住してきた大塚謙一さん（44）だ。この地域で農家体験民宿「古民家なかや」の管理をしながら、市の移住相談員として移住の橋渡しをしている。なかやにお邪魔すると、Aさんが住む離れの家主、ぬい子さん（83）が「こんにちは」と庭に現れた。

「カラスがリンゴを落っことしてリンゴ拾いを手伝ってもらったの。Aさんはいい人だし、手伝ってくれるから助かっているわ」

　と、ぬい子さんは満足そうに笑顔を見せた。

　大塚さんによると、Aさんは1年かけて北杜市に通い、地域の信頼を得ていった。ぬい子さんや地元ともうまくやっていけると思い紹介したのだという。

◇住みたい県ランキング
1位　山梨県
2位　長野県
3位　岡山県
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16位　長崎県
17位　茨城県
18位　広島県
19位　高知県
20位　和歌山県
ふるさと回帰支援センターを訪れた人へのアンケート調査（2014年実施）

（本誌・長倉克枝）

※週刊朝日 　2015年11月6日号より抜粋