田原総一朗「『旧3本の矢』の検証なき『総活躍』は政府の悪あがきだ」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「『旧3本の矢』の検証なき『総活躍』は政府の悪あがきだ」

連載「ギロン堂」

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「『旧3本の矢』の検証なき『総活躍』は政府の悪あがきだ」(※イメージ)

「『旧3本の矢』の検証なき『総活躍』は政府の悪あがきだ」(※イメージ)

 旧3本の矢の中身とは[1]デフレ脱却のための大胆な金融緩和、[2]機動的な財政出動、[3]成長戦略の実施であった。

 確かに大胆な金融緩和によって、株価は民主党時代の9千円前後から2万円前後まで大きく上昇した。雇用も増え、失業率は下がった。だが、今年4~6月期の雇用の内容を、民主党時代の2012年4〜6月期と比べてみると、雇用総数は121万人増えているのだが、非正規雇用が178万人増え、正規雇用は56万人減っているのである。また、政府は実質賃金が上がっているというが、現実には残念ながら下がっている。

 最大の問題は「成長戦略」だ。政府は毎年GDP2%の上昇を約束していた。13年度は、実質成長率が2.1%増であったが、14年度は、なんと0.9%減であり、15年も4~6月期は年率1.2%減というマイナス成長である。

 私たち国民は、政府が頑張ったことは認めるが、旧3本の矢が成果を出せなかったことを実感している。

 それを毎年3%成長が必要なGDP600兆円を掲げられても、その前に旧3本の矢の総括を求めたい。さもないと、「一億総活躍」を、政府の悪あがきのキャッチフレーズと考えざるを得なくなる。

 ところで、加藤勝信担当相は、私はまったく面識がないのだが、官僚たちにも、メディアの人間たちの間でも、評判が悪くない。

 安倍首相には重宝がられていて、だからこそ「総活躍担当相」に抜擢されたのだろうが、政治家には珍しく、そのことをひけらかしたり、「目立とう意識」がまったくない人物だという。新3本の矢はいずれも矛盾だらけで、四方八方から非難を浴び続けることになるだろうが、「目立とう意識」のない加藤担当相は、それゆえに、非難や悪評にも強いのではないかと期待したい。

週刊朝日  2015年11月6日号


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田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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