小水力発電が国内で脚光を浴びつつある(※イメージ)
小水力発電が国内で脚光を浴びつつある(※イメージ)

 小水力発電が国内で脚光を浴びつつある。一般的には千キロワット以下を小水力と呼ぶ。水量と落差があればどこでも発電できることから、水資源が豊富な日本に向いている。

 普及の足がかりとなったのは2013年の河川法改正だった。小泉純一郎氏、細川護熙氏の元首相コンビが活動する「自然エネルギー推進会議」で理事を務める中塚一宏元金融担当相が言う。

「河川の流水を利用する水利利用では、河川法に基づいて河川管理者の許可を得るのが基本でした。しかし、実際には申請しても許可を取ることはほぼ不可能だったため、せっかくの小水力発電も普及が進まなかった。そこで民主党政権時代に河川法を改正して、許可制から簡素な登録制にすることを決めたのです。一定の要件を満たせば、すべて登録で済むようになり、小水力発電に参入しやすくなりました」

 中塚氏らの支援で今年3月から静岡県長泉町で運転が始まった小水力発電は、幅2メートルの農業用水路に8キロワットの小型水車を置く。年間の売電収入は200万円弱と少ないが、新たに28カ所、増設する計画がある。設置費用は3500万円程度。自治体の補助を受けず、賛同企業を募る。この発電設備も京葉ガスが一定の費用負担をした。

「自然エネルギーは公益性がないと普及しない。そのため、移動式給電装置や携帯型バッテリーを備え、災害停電時には地域の電源として活用してもらう。売電収入は設置費用を負担してくれた企業、水利権者の土地改良区、地元の町内会などと分け合います」(設置者の自然エネルギー利用推進協議会の岡本欣訓氏)

 自治体が小水力発電に取り組むケースもある。東京都江戸川区の葛西給水所では、13年から小水力発電を始めた。

 地下室の水道配管の先に、幅と高さが2メートルほどの発電機を設置した。水道管の中の上水が、カタツムリのような形をしたタービンに流れ込み、水流で発電する。出力340キロワットの水力発電機だ。

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