「この組み合わせは台湾ダフル!」「タラの餃子なんて、なかなか食えんティンタランティーノ」「不安になってキタキツネ」「うま杉良太郎!」って、モノローグがほぼ大喜利状態。

 そりゃ原作版五郎だって、ダジャラーです。ヨルダン大使館の前を通りかかったら、「昼だん大使館」って言っちゃうくらいのダジャラーです。ただね、活字で見るダジャレと、耳で聞くダジャレ。これインパクトの差、激しすぎだから。試しに今、声に出して「昼だん大使館」って言ってみよう。そんなあなたは、絶対孤独じゃないもの。

 だから、「だるま」ってお店から出てきた「松重」五郎が、満腹感&満足感のあまり「サンキューダルマッチ!」って心の中で言うのを聞いたら、もう愛さずにはいられないよね。声に出して読みたいダジャレの共有。美味いものを食っても、ウンチクもなし、「宝石箱や~」も「まいう~」もなし。ただしダジャレあり。

 グルメ番組は、いつのまにやら芸人とアイドルばかり。気の利いた「食レポ」とか、大仰なリアクションにすっかり飽きた目と耳に、穏やかなおっさんとダジャレこそ、いただきます。

週刊朝日 2015年10月30日号