フジマキ「TPP大筋合意は日本の将来にとって素晴らしいこと」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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フジマキ「TPP大筋合意は日本の将来にとって素晴らしいこと」

連載「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

天日干しされたイカが風に揺れる呼子漁港には、休漁したイカ釣り漁船が係留されていた (c)朝日新聞社 

天日干しされたイカが風に揺れる呼子漁港には、休漁したイカ釣り漁船が係留されていた (c)朝日新聞社 

 ところで環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が大筋合意した。これは日本の将来にとって素晴らしいことで、政府の努力に敬意を表する。しかし疑問もある。農林水産業などの救済対策に全力で取り組むという点だ。外国産農水産物の価格は関税分が下落し、国際競争力が落ちるのはわかる。

 しかし野田佳彦首相(当時)が、APEC首脳会議において関係国と協議に入る旨を表明した11年11月13日のドル円相場は、おおよそ80円。安倍晋三首相がTPP交渉に参加を表明した13年3月15日はおおよそ96円だ。当時であれば、農水産業者が激しい抵抗をしたのもわかる。しかし今は120円と、野田前首相の表明時からは50%、安倍首相の表明時からは25%も下落した。これは50%または25%の関税分をすでに補填したに等しい。1ドル=120円の今、日本の農水産業者の国際競争力はより増している。

 今の関税は牛タンで12.8%、鶏肉8.5%、11.9%、さくらんぼ8.5%、蜂蜜(天然)25.5%、小豆10%、銀ザケ3.5%だ。

 ましてや私は、今後、大幅な円安を予想している。もしそうなれば関税などなくなっても、米のような一部農産物を除いて、日本の農水産業の未来は明るい。関税の引き下げという不利な面だけを強調して、政治家が地元のために補助金を引き出そうとするのは、まさにばらまき、票稼ぎだと思わざるを得ない。

週刊朝日 2015年10月30日号


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藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

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