「今はネット社会で、すぐに盗作の烙印が押される。あらゆる表現分野に共通する問題だと思う」

 デザイン以外の分野の関係者に聞くと、なるほど、パクリ疑惑につながりかねない事情も垣間見える。

 例えば音楽──。

「『あの曲とそっくりに。でも違う曲を書いて』とか『地方のCMだから似ていても大丈夫』といった依頼もある。依頼に従えば、曲が似てくることもなきにしもあらずなんです」(男性作曲家)

 例えば料理──。

「創作料理は編集作業。自分の引き出しにある(他者の)知識を組み合わせる。組み合わす発想がクリエーティブなんですが……」(調理師専門学校関係者)

 そうした実情はさておき、都の前田課長はパクリ疑惑騒動にまったく動じていない。取材中には笑みさえ見せた。聞けば、商標登録には「どれだけ世の中に知られているか」という知名度も決め手になるとか。

「いろいろメディアに騒がれるのは逆にいい宣伝。もうこれは……フフフ。楽観的ですけど、お陰様で無事に登録されるかな」

週刊朝日 2015年10月30日号