一方、今回の3社は、すでにビジネスモデルができあがっているため、投資家からは過度な期待はもたれていないという意見もあるが、“誘い水”がある。

「株をやったことがない人に買ってもらえるように、NISA口座を使える範囲内で、想定売り出し価格を抑えたのでしょう」(雨宮氏)

 NISAとは、14年にスタートした「少額投資非課税制度」。1年間に100万円まで新規投資をした場合、売却益や配当金が非課税になる。売り出し時の想定価格で郵政3社の株を100株ずつ買ったとしても49万円で、NISA口座の範囲内で十分買える。

 そもそもIPOの株を入手するためには、証券会社に口座を開き、なおかつ抽選で当たらなければならない。

「200株申し込んで100株だけが当たるということはあるかもしれませんが、抽選にもれることはない、という臆測が広がっています」(西堀氏)

 今回はチラシやパンフレットを配って募集をかけているほど、販売に必死だという声もある。ある大手証券会社の営業担当は、「各支店にノルマがあるので、販売はけっこう大変です」と打ち明ける。

 実際、個人投資家向けの説明会でも、会場の外で説明会から出てきた投資家に勧誘をする営業担当もいたほど。

「まだ口座を持っていない人にもチャンスはあります。通常、証券会社の口座開設には時間がかかると言われていますが、証券会社の支店に直接行けば、申込期間前に、需要動向を調べるブックビルディング期間中でも、口座を開設してくれるかもしれません」(西堀氏)

 そして抽選の結果、当選すれば売り出し価格で購入できる。また購入を辞退することも可能だ。

 気になる株価はどうか。

 初値は売り出し価格と変わらないと見るのは、前出・雨宮氏。

「時価総額が大きいと初値はそれほど高騰しない場合が多く、上昇するとしても、売り出し価格の数%程度でしょう。上場から年内までならまだ購入できる範囲です」

 なぜ、年内なのか。

 それは、機関投資家が上場の約1カ月後に3社の株を買うからという。

「株式市場の値動きに連動するファンドに組み入れられ、その時期は年末と言われています。機関投資家は一斉に3社の株を買うので、株価は一時的に上昇します」(雨宮氏)

 売却して利益を得たいのであれば、そこで売る手法もあるという。

週刊朝日  2015年10月23日号より抜粋