シャープが発表した人工知能搭載のロボット電話「ロボホン」(撮影/河嶌太郎)
シャープが発表した人工知能搭載のロボット電話「ロボホン」(撮影/河嶌太郎)

 国内最大の家電見本市「シーテック ジャパン」が10月7日から10日まで、幕張メッセ(千葉市)で開催された。国内外の計531社・団体が最新技術を駆使した試作品などを披露した。テーマはインターネットとモノが融合する「IoT」。でも何かがヘンだ。日本の家電業界の「大物」の姿が少ないのだ。

 事務局によると、日立製作所は2012年、ソニーは13年を最後に撤退。粉飾決算疑惑で炎上中の東芝も今回出展を見送った。

 かつて電機業界の利益構造は「スマイルカーブ」と呼ばれ、口角の上がった部分、つまり高収益なのは上流の部品産業と、価格に影響力を持つ家電量販店だった。だが近年は新興国企業の台頭などで家電が売れないため、今春には量販最大手のヤマダ電機も販売不振から大量閉店を決断。「笑顔」はなくなり、どこかの財務相の口元のようになっている状況だ。

 未出展の理由を各社は「インフラ事業に舵を切ったため」(日立)、「BtoBシフトを加速中」(東芝)、「グローバルで選択と集中をした結果」(ソニー)と回答。だがある大手社員は「『日本が家電の中心』なんてのは過去の話」。来場したソニー社員は「未出展は寂しいが、出せるモノがまだない」とする。

 投資家はこう見る。日本個人投資家協会の木村喜由理事は「米国は発想力ある人材がおり、部品さえあれば新しいモノを作る。日本はその逆。不振の原因はそこ。中韓大手も後追いなので、日本の二の舞いです」。

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