北原みのり「ああ、韓流で知る国家とは」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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北原みのり「ああ、韓流で知る国家とは」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

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シルバーウィークを韓国で過ごして驚いたのは、日本からの旅行客が激減していたこと(※イメージ)

シルバーウィークを韓国で過ごして驚いたのは、日本からの旅行客が激減していたこと(※イメージ)

 アイドルにはまるなんて、軽い衝動のようなものだと思っていた。でも、韓流にはまり、ずぶずぶと好きなものが増えていった結果、思いがけずぶつかったのは、「国家」というものだったかもしれない。

 意識してこなかった、意識しないでもすんだ、日本人であるということ。国家に対峙することも、国家暴力に巻き込まれることからも、全くリアリティのない世界に生きてきたのだと、韓流以降、気がつかされることが多い。韓流が好き!と言うだけでネットで誹謗中傷を受けるのは序の口だった。日に日に韓国に対するバッシングが深まり、ついには観光客の数まで減らすような空気が蔓延した。いったい、コレの始まりはどこだったんだろう? と考えずにはいられない。

 韓国に旅行している時、日本の安保法成立についての報道が大きく流れていた。韓国からみれば日本の安保法は、「朝鮮半島の緊張を理由に、アメリカに呼ばれればすぐに日本がやってくる」状態になってしまったということ。日本「軍」が朝鮮半島に再び上陸する悪夢の再来ともいうべき、リアルな恐怖なのだ。

 ああ韓流。ああ東方神起。ああ、国家の怖さにあまりに無自覚だった平和ボケな私。平和ボケとは、他国の脅威に対してではなく、自分の国に対する、うっかりした甘さだった。そのツケを戦後70年の今、多くの日本人が払わされている。

週刊朝日 2015年10月16日号


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北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

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