室井佑月「野党のみなさんへ」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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室井佑月「野党のみなさんへ」

連載「しがみつく女」

「安倍自民の暴走」を止められなかった野党に失望(※イメージ)

「安倍自民の暴走」を止められなかった野党に失望(※イメージ)

 心配だ。安倍政権の暴走を止めることを、国民が諦めてしまうのじゃないかと。諦めた国民は、国民同士でパイの奪い合いをはじめる。馬番の主人の下での、過酷な争いがはじまる。

 この国のトップたちは、その上の主人たちの下での身分や資産の争いだけど、そんな彼らの下にいるあたしたちは、食っていけるか生きていけるかどうかの争いになってしまうかも。そうなったらもう、誰も声をあげられっこない。毎日、誰が潰されるのかと震える家畜のようになる。自分や自分の家族の生き残りを図って、仲間を売るものも出てくるだろう。

 妄想が激しすぎる? けれどあたしは、そんなこともないと思う。安倍さんが安保法成立後に出してきた「アベノミクス新3本の矢」。スローガンだけでぜんぜん中身がないけれど、会見のとき記者は誰も突っ込まなかった。世の中の流れに目ざといメディア人は、大きな力には逆らっても無駄、そう諦めてしまったようで。そして、世の中の雰囲気が作られていく。

 あたしたち個人個人は弱いから、完全に雰囲気が作られたら、もう力には絶対に刃向かえない。だから、デモに出かけたり、SNSで意見をいったり、多勢がまだ声をあげられる今が肝心なんだと切実に思う。多勢が崩れたら、そこで終わりだ。

 野党議員のみなさんは、あたしたちへの声をダイレクトな自分たちの応援かなんかだと勘違いしてないか?

 それこそ今あたしたちは、我々と協力し合おう、そう呼びかけているのに。

週刊朝日 2015年10月16日号


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室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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