息子は私以上に覚えがよく、自然にアルファベットにも興味を持ちました。メルセデスベンツの「SLK」が「スポーツ、ライト、クルツ(短い)の略」であることなども覚え、3歳のころから英語を読めるようになっていきました。受験を意識したわけではないですが、固有名詞を使うことには学習意欲を引き出す効果があったと思います。今、公立中学の3年生ですが、将来の夢はカーデザイナー。米カリフォルニアの大学をめざしています。

――机に向かう勉強以外の面で工夫したことは。

廣津留:家では常に花を飾っていました。週1回は娘とお花屋さんに行き、季節の花を選びました。お月見やお節句などの行事もきちんとやり、積極的に日本文化に触れさせました。

 家や学校以外の大人と出会えるように、週末には外国人の友人らを招いてホームパーティーをしました。国籍や年齢を超えたコミュニケーションに早くから触れたおかげで、娘は自然と海外へ目を向けるようになったのかもしれません。

 何か好きなことを夢中になって突き詰めると、いろいろなことが見えてきます。娘は3歳のころにバイオリンを始め、練習や公演活動を高校入学後も続けていました。公演で演奏し、時に自ら主催する中で「人は一人では何もできない、周りの人に支えられている」と実感したはずです。

加藤:息子が3歳になると、毎年春に米ロサンゼルスで2週間ほど過ごし、生の英語に触れる機会をつくりました。車好きから始まった英語への興味に実体験が加わり、ますます覚えがよくなったようでした。英検では、史上最年少(当時)の5歳で2級、中学1年で1級に合格しました。今は中3ですが、海外の映画を字幕なしで見ています。

佐藤:英語教育には、わが家はそれほど熱心に取り組みませんでした。まずは日本語の読み書き、計算をこなすことに集中しました。英語はこれからの時代に絶対に必要です。でも、重要なのは英語で話す内容です。子どもたちには日本の歴史、文化をきちんと学ぶように言ってきました。

 とはいえ英語は受験に必要ですから、息子たちは勉強しました。受験英語をやっても英語は話せないとの意見もありますが、そんなことはありません。口語文法や英文解釈はすべての基本。必ず役に立つと思います。

週刊朝日 2015年10月16日号より抜粋