家計へのテコ入れなら、電気やガスなどの公共料金の値下げが考えられる。電気は、来春の電力自由化もにらんで、競争激化となるのは必至だ。

 そもそも、通信料の値下げは経済活性化の政策として有効なのか。みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は言う。

「家計は浮いたお金を他の分野に回すでしょうが、結局のところ、賃金が増えていないので消費は伸び悩む。よって、消費喚起のための策も打ってくるでしょうね。すでに2015年度補正予算案に低所得者支援策の拡充を盛り込む話が出ています」

 念願の安保法を成立させ、新3本の矢を持ち出して国民の関心を経済へと変えた安倍政権。もう逃げ場はない。

(本誌・鳴澤 大、永野原梨香、牧野めぐみ、西岡千史、林 壮一、松岡かすみ、秦 正理/今西憲之)

週刊朝日 2015年10月16日号