「意見を言うだけで、殺されたりするのは嫌」と奥田くんはツイート (c)朝日新聞社 @@写禁
「意見を言うだけで、殺されたりするのは嫌」と奥田くんはツイート (c)朝日新聞社 @@写禁

 インターネットなどを使った“殺害予告”が、後をたたない。

「メッタ刺しにして殺します」――。9月19日にタレントのアグネス・チャンさんの公式ツイッターにそう書き込まれた。「アグネス御殿は血まみれになります」と書いたのは、東京都昭島市に住む中学3年生の男子生徒だった。

 24日には、安保法反対の学生団体「SEALDs(シールズ)」の中心メンバー、奥田愛基(あき)さん(23)宛てに「奥田愛基とその家族を殺害する」という趣旨の書面が入った封書が届いた。在学する明治学院大学ではなく、明治大学に間違って送られた。

 愛基さんの父親・知志(ともし)さん(52)は憤慨する。

「単に『殺す』って宣言してるだけの手紙なんです。手書きで墨みたいなもので書かれていました。理由もなく異論を認めない手紙は、時代を象徴している」

 少し目立てば、“私刑”宣告が頻発するいびつな社会になってしまったのか。ネット問題に詳しい紀藤正樹弁護士は、その背景について、2008年に東京・秋葉原で起こった無差別殺傷事件の影響を指摘する。

 犯行はネット掲示板で事前予告された。その後数年は警察の摘発が相次いだが、「報道が少なくなり、国民の関心も薄れて、犯罪性を重くとらえなくなった」(紀藤氏)

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