田原総一朗「旧ソ連や中国に似てきた自民党からは国民が離れていく」

連載「ギロン堂」

 ジャーナリストの田原総一朗氏は、「自民党の劣化」を感じるという。

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 国会の周囲を数万人の国民が埋め尽くし「廃案」を叫び続ける中で、9月19日午前2時18分に安保法制は可決された。安保法制を一貫して支持し続けた読売新聞の世論調査で、成立を「評価しない」が58%、産経新聞でも「評価しない」が56.7%である。安保法制の国会審議を見て、自民党の劣化を痛感せざるを得なかった。たとえば、安倍首相は集団的自衛権行使の具体例として挙げていたホルムズ海峡での機雷掃海を、後に「現実問題として想定していない」と否定し、また、やはり代表的事例として挙げていた邦人輸送中の米艦防護についても、中谷元・防衛相は「邦人が乗っているかは絶対的なものではない」と答えている。

 このような事柄は、かつての自民党ならば党内で議論され、基本的な矛盾がそのまま持ち越されることはなかった。いつの時代にも、自民党には主流派に厳しく論争を挑む反主流派、非主流派などの議員がいて、政治ジャーナリストたちは、自民党内の論争の取材にこそエネルギーと神経のほとんどを注いだのであった。

 岸信介首相の60年安保騒動のときも、自民党内に公然と岸首相のやり方を批判する勢力があり、岸首相が安保改定と心中するかたちで首相を辞任せざるを得なかったのも、いわば党内事情であった。自民党にはタカ派もいればハト派もいて、自由に自分の意見を表明して討論できるという柔構造になっていて、それゆえに長期間政権を持続し得たのである。

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