田原総一朗「旧ソ連や中国に似てきた自民党からは国民が離れていく」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「旧ソ連や中国に似てきた自民党からは国民が離れていく」

連載「ギロン堂」

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「安保法制の国会審議を見て、自民党の劣化を痛感せざるを得なかった」

「安保法制の国会審議を見て、自民党の劣化を痛感せざるを得なかった」

 だが、一つには衆院の選挙制度が小選挙区制に変わり、執行部が推薦する人物しか立候補できなくなったため、反主流派、非主流派がなくなってしまった。今回の安保法制も、批判をしているのは山崎拓氏、古賀誠氏、野中広務氏などのOBばかりで、現役の自民党議員からは意見が出てこない。誰もが自分の意見を表明するのを怖がっているようでさえある。

 たとえば総裁選も、かつての自民党ならば複数の議員が出馬して、それぞれの自民党論を打ち上げて競うのが通常のパターンだった。そのことで、国民は自民党の議員の発想の広さを知ることができた。ところが今回は、全派閥がまるで忠誠心を競うように安倍首相支持を打ち出し、自民党の広さを示すために立候補を決意した野田聖子氏の推薦人が強引にはぎとられ、ついに20人を割ってしまった。自民党は旧ソ連や中国の政権を「独裁」だと、半ば揶揄(やゆ)するように批判していたのだが、それに酷似してきたわけだ。

 野党にも問題がある。野党第1党の民主党が、最後まで対案を示さなかった。共産党のように政権を狙わず、企業で言えば監査役のような政党ならば、批判の鋭さで勝負すればよい。私は共産党を批判するつもりはなく、監査役のような野党の必要は認めている。だが、民主党は一度は政権を奪取し、これからも政権を狙っているはずの政党である。

 あらためては記さないが、今回の安保法制には多くの問題がある。だからこそ各紙の世論調査でも「反対」が「賛成」を大きく上回っている。民主党はどのような安保法制を考えているのか。実は対案はつくられていたようなのだが、党内に異論があり、対立を恐れて「反対」でまとめたのだという。自民党だけでなく、野党の民主党までが、党内論議、討論を嫌がるとはどういうことなのか。これでは政治が劣化し、国民からどんどん遊離してしまうばかりだ。

週刊朝日  2015年10月9日号


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田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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