「伊方原発であろうがどこであろうが、再稼働すべきではない」(※イメージ)
「伊方原発であろうがどこであろうが、再稼働すべきではない」(※イメージ)

「伊方原発であろうがどこであろうが、再稼働すべきではない」。四国電力伊方原発を抱える愛媛県で「小泉節」が炸裂した。

 小泉純一郎元首相は16日、松山市内のホテルで聴衆約600人を前に講演。脱原発の思いを語った。

「政府は『世界一厳しい新規制基準だから大丈夫』と言っているが、どうして世界一と言えるのか。どこの国とも比べていないのに世界一と言うのはおかしい」

 73歳。なめらかな弁舌は健在で、

「若いころ、70歳以上の人が随分お年に見えたけど、自分が70歳を過ぎまして、1時間半立ちっぱなしでも、こうやってしゃべっていられる」

 との言葉には、大きな拍手と笑いが起きた。

 講演後の記者会見で、地元放送局の記者が「愛媛県の中村(時広)知事は、事故があったときの最終責任が誰にあるのか安倍総理に直接聴きたいと言っています」と指摘すると、

「政府がカネを出しているんだから、政府にも責任がある。検察審査会が(東京電力元役員3人を)起訴すべきと判断し、刑事裁判をすることにもなったんですから。私は政府にも電力会社にも責任があると思う」

 本誌記者が「息子の小泉進次郎復興政務官と再稼働について話し合っているのですか」と問うと、

「進次郎は毎月、東北へ出かけ、被災されたみなさんと話をしていますから、事故後の悲惨な状況をよくわかってますよ。インターネットで私の講演も見てくれている。原発の話もしますけど、私が(原発)ゼロだからと言って、強制はしないんです。まだ若いし、じっくりと今の復興政務官の仕事をやっていけばいい」

 などと答えた。今月は神奈川県小田原市でも講演しており、今回が2度目。

「原発ゼロが国民的な大目標になる時代が必ず来ると思って、講演を続けます」

週刊朝日  2015年10月2日号