国会前を埋め尽くす安保反対派のデモ (c)朝日新聞社 @@写禁
国会前を埋め尽くす安保反対派のデモ (c)朝日新聞社 @@写禁

“違憲”安保法が成立したが、そんななか、とんでもない事実が発覚した。安倍政権は、来年度予算で世界最先端の兵器を米国から購入し、自衛隊に導入するつもりだ。ところが、自衛隊にはそれを使いこなすインフラが整っていないという。防衛省(旧防衛施設庁)OBで情報通信コンサルタント会社「TEIRY」代表の佐藤定利氏(73)が衝撃の告発をする。

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 安保法成立後、自衛隊は東シナ海や南シナ海における不測事態に備えた、新しい運用が始まります。無人偵察機のグローバルホークや最新鋭戦闘機F35の導入で情報収集能力は大幅に強化され、それに見合った通信ネットワークをつくる必要が出てきます。ところが、防衛省には、将来の通信基盤をどうするかという基本構想がありません。

 昔つくられたマイクロ回線の維持に固執する一方で、それを補強するため、NTTの部外回線を場当たり的に増やしてきました。自衛隊のマイクロ回線は通信品質が低いため、指揮系のシステム等では部外回線が選択され、能力の35%しか利用できていないというデータもあります。

 マイクロ回線は無線ですから、台風や地震が来れば、当然、影響を受け、通信の品質が低下します。

 通信技術は専門性の高い分野ですので、防衛省は通信ネットワークの整備や維持管理をメーカーのサービスに完全に依存しています。メーカーの営業戦略に左右され、国家戦略的な視点で整備してきませんでした。防衛省はメーカーから中立の立場のコンサルタントを入れて抗たん性、冗長性、セキュリティー及び耐災害性等を含めて、中長期的視点に立ったグランドデザインを検討すべきです。

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