ヤクルト・バレンティン復帰は優勝争いに“悪影響”? (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

ヤクルト・バレンティン復帰は優勝争いに“悪影響”?

連載「ときどきビーンボール」

このエントリーをはてなブックマークに追加
週刊朝日#東尾修
ヤクルトの2番打者・川端。打率3割3分5厘は、3番・山田を上回る=9月7日次点 (c)朝日新聞社 

ヤクルトの2番打者・川端。打率3割3分5厘は、3番・山田を上回る=9月7日次点 (c)朝日新聞社 

 2番打者には、1番打者の盗塁を手助けしたり、進塁打を狙ったりと、さまざまな制約があり、小技の利く選手が重宝される。ただ、それだと2番打者の打率は下がる。真中監督は川端に制約をつけず、彼の力を引き出している。川端の打席を見ていても、迷いがない。

 仮に1、2番で1死一塁の形になっても、真中監督はいいと思っているのではないかな。投手心理を考えた場合、1死二塁だと「最悪の場合、山田は歩かせてもいい」となる。ただ一塁が埋まっていれば、勝負しにいく意識は高まる。微妙な心理だけど、相乗効果のエッセンスは多岐にわたるよ。

 4番の畠山だって、山田がこれだけ盗塁への意識を高めてくれれば、投手の注意力が分散され、失投が増えてくる。今年の畠山は特にストライクゾーンの見極め、我慢が素晴らしい。失投だけをたたくという打撃に集中できている。山田というスーパースターが、2番の川端、4番の畠山にも好影響を与える。この3人の「あうんの呼吸」は投手にとっては脅威でしかない。

 故障で長期離脱していたバレンティンが再来日した。彼をどういう形で起用するかも見ものだ。120試合以上をバレンティン抜きで戦ってきただけに、彼をスタメンで使う場合でも、5番か6番あたりで使うことが望ましい。完成された2、3、4番の形を崩すと、チームの野球が崩れる恐れがある。レギュラーシーズン中は、最後まで「代打の切り札」でベンチに置くことも選択肢の一つだ。

 優勝経験のない選手たちにとって、重圧は想像を超えるだろう。想定外のことも起こる。選手たちにできるのは、ここまで結果を残してきた自分たちの野球を最後まで信じ抜くことだ。プロ野球の長い歴史で、新人監督が前年最下位だったチームを率いて翌年に優勝に導いたのは75年の広島・古葉竹識監督だけ。選手はもちろん、真中監督にとっても、大きなチャレンジとなる。

週刊朝日 2015年9月25日号


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい