黒田バズーカ第3弾はあるか (c)朝日新聞社 @@写禁
黒田バズーカ第3弾はあるか (c)朝日新聞社 @@写禁

 原油価格が暴落している。中国など新興国の景気減速で世界経済が新しい局面を迎えているからだ。原油安は日本にとってメリットが大きいが、金融緩和で円安を目指すアベノミクスの下では、国民は十分にそのメリットを享受できない。安倍政権の経済運営はジレンマに陥っている。

 当然、政府・日銀も原油安に重大な関心を寄せている。日本経済の最大の課題であるデフレ脱却を果たすには、緩やかな物価上昇を実現しなければならないとしているからだ。

 安倍首相は8月24日の参議院予算委員会で民主党・小川敏夫議員の質問に答え、「(日銀の金融政策について)原油価格が暴落する中で物価安定目標の2%が達成できないのはやむを得ない」と話した。

 一方で「(原油価格の下落は)経済にはプラスの影響も及ぼす」と指摘。2%達成が難しいということについては理解していると語った。

 日本は90年代後半からデフレ局面に入り、日銀は13年3月に就任した黒田東彦総裁のもと、2%の物価上昇を目指し、大規模な金融緩和を打ち出した。それを機に円安が加速し、その影響で、海外から輸入する燃料や原料の価格が上昇し、電気料金や食料品などの値上がりが相次いだ。

 その結果、おととし6月にCPIはプラスに転じ、デフレ脱却の糸口をつかんだ。日銀は安倍政権下で大規模緩和をこれまで2回行っている。

 安倍首相も認めるように、2%上昇が難しいとすれば、日銀の3回目の大規模緩和があるかもしれない。日銀の金融政策に注目が集まっている。

 大蔵官僚出身で民主党政権では国家戦略担当大臣を務めた古川元久衆議院議員は次のように話す。

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