国会前を埋め尽くす無数のデモ参加者だけでなく、全国各地での反対の声も届かないのか? (c)朝日新聞社 @@写禁
国会前を埋め尽くす無数のデモ参加者だけでなく、全国各地での反対の声も届かないのか? (c)朝日新聞社 @@写禁

 平和の党を謳いながら、安保法案を推し進める公明党への怒りが、創価学会員の間で鬱積している。

「信じて応援してきた公明党は虚像だったのか」

 こうぼやくのは、公明党員で創価学会員の天野達志さん(51)だ。台風の影響で土砂降りの雨の中、愛知県安城市から上京。安保法制の白紙撤回を公明党の山口那津男代表に請願する署名9177筆を届けようと、8日、公明党本部に出向いたが、門前払いされた。

「『署名を持って帰ってくれ』と言われ、玄関先にいるのに、電話越しの対応しかしてもらえない。無慈悲だと抗議すると『どう捉えていただいても結構です』とバッサリ。春の地方選も支援したのに、ひどい対応で呆れた」(同)

 対応を懇願し続けたが、同日午後5時になると玄関のシャッターが閉められた。

 翌9日からは、公明党本部の入り口の警備員も増員され、バリケードも設置。敷地内に入ることさえできなかった。署名に参加した婦人部の一人がこう憤る。

「創価学会と公明党を信じたいけど、戦争を引き起こしかねない法案に公明党が賛成するのは、池田大作名誉会長の教えに矛盾している。デモに参加すると、幹部から『嫌なら学会員をお辞めになったらどうですか』と鼻であしらわれた。選挙のときは“集票マシン”として使い、モノを言うと排除するのは失礼です」

 不満は拡大し、創価大学の教員や学生の有志が全国的な署名活動を開始。さらに、公明党国会議員の事務所に「魂を売った公明党は解党せよ!」などと書いた抗議ファクスを送り、訴えている学会員もいるという。

「菅義偉官房長官と佐藤浩副会長はツーカーで、昨年の集団的自衛権の行使容認を閣議決定したときも2人で調整していた。今国会で与党は議論をあまりに急ぎすぎた。学会も正直、困惑している」(創価学会関係者)

 11日にやっと署名を受け取った公明党だが、来年の参院選は大丈夫なのか。 

週刊朝日 2015年9月25日号