記者会見で説明する高瀬さん(左から2人目)(撮影/山本朋史)
記者会見で説明する高瀬さん(左から2人目)(撮影/山本朋史)

 認知症の疑いの有無が簡単にスマートフォンなどを使って無料で調べられるアプリが開発された。発表会見に参加した認知症早期治療実体験ルポ「ボケてたまるか!」の筆者・山本朋史記者は、役立つ可能性を感じたという。

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 このアプリは「客観式認知症疑いチェックアプリ」(配信名称は「認知症に備えるアプリ」)。第三者が七つの質問に答えると、93.9%の確率で認知症状がチェックできるという。NPO法人オレンジアクト(高瀬義昌理事長)が開発した。

 高瀬さんは東京都大田区で認知症サポート医として地域包括ケアに尽力している。昨年11月にぼくが認知症サミットの後継イベントでスピーチしたときに知り合った。認知症関係の会合に積極的に参加、この世界では有名人である。

 発表会見のメールが広告代理店から届いたのは8月上旬だった。5日午後2時から、厚生労働省記者クラブの会見場にて。幸い予定は入っていなかった。前日に出席の意思を伝えると、「希望者が多いので立ち見になるかもしれません」

 注目されているらしい。霞が関にある厚労省には東京地検特捜部が摘発したKSD事件のときに何度も通った。医療関係の取材では昨年、認知症対策専門官に話を聞きに行って以来だ。混雑が予想されると聞かされたので30分前に行く。会見場の入り口に背広姿の高瀬さんがポツンと立っていた。ぼくの顔を見ると、

「来てくれたの。まさか来るとは思っていなかった」

 だって呼んだんじゃない? へんなの。でもきっと緊張していたのだろう。会見が始まる直前にクラブの加盟記者が入室してきた。

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