北原みのり「これが民主主義!」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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北原みのり「これが民主主義!」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

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 そして、その瞬間がやってきた。柵が決壊し、人が車道に溢れたのだ。開かれた柵の間近にいた友人が言うには、誰が暴れるわけでもなく、ただずるずると車道に人が流れ、誰にも止められなかったという。もちろん警察は「危ないから車道に出ないで下さい!」と言った。でも、言ってる本人が空しかったはずだ。既に車が通らないように道路は封鎖されていたし、“危ないから”車道に出るしかないほど、人が集まっていた。

 私はその様子を後ろの方で見ていた。太い道路の終わりの方で、警察が黄色い「立ち入り禁止」のテープをスルスルと畳み、人の波を道路の中に受け入れた。それからはあっという間だった。人の波が、じわじわと50メートルの道路に広がっていった。慎重に、静かに、じわじわと。手をあげ、声をあげ、国会議事堂に向かう人々の背中が凛々しかった。誰もはしゃいでいない。誰も暴れていない。本気の背中だ。

 強いリーダーを求めて、面倒くさいことは国にお任せで、経済がよければOKで、沖縄が苦しもうが無視で、原発の対案だせないなら黙れという言葉に呑み込まれるように生きてきた、全然民主主義じゃなーい戦後70年を終わらせよう! そんな空気が、この夏、生まれたのだと思った。若者たちの必死な声が、諦めかけていた社会の空気を変えたのだと思った。

 閉じられた柵は、暴力を振るわずとも、開いた。同じように、もう止められない声が何かの扉を開けかけているのだと思う。2015年8月30日、歴史的な日になるのだと信じたい。

週刊朝日 2015年9月18日号


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北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

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