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 変化が好きだというシャーロット・ケイト・フォックスさん。新しいことに挑戦して失敗するかもしれないリスクよりも、気持ちが停滞して、身動きがとれなくなることのほうが怖い。幼い頃からいたずらや遊びが大好きだった。自分でも不思議なほど、“普通”とか“平均的”な生き方とは無縁の子供時代を送っていた。

「地元にサンタフェ・オペラという全米で最も美しいとされるオペラハウスがあるんですが、15歳のときに、そこで『カルメン』を観て、これほどまでに、人生というものは美しくありえるんだ、と感動して。以来、自分も、あのステージで生まれる素晴らしい世界の中に身を置いてみたいと思うようになりました」

 芝居をしているとき、歌を歌っているとき、ふと“無我”になれる境地がある。その瞬間が、何より快感なのだという。

「お芝居って、自分を表現するというより、自分を注ぎ込むことなんじゃないかと私は思います。芸術を創造するとき、使うのは自分の肉体だけれども、精神は、自分自身でいることのプレッシャーから解放される。本番前までは、『ちゃんとできるかしら』とか、『失敗しちゃいけない』とか、頭の中が焦りや不安でいっぱいなのに、いざ作品に集中できたときは、そんな呪縛から解放されて、精神が自由になる気がするんです」

 地元の芸術大学や演劇スクールで演技やダンスを学んだ後、舞台やインディペンデント映画でキャリアを積んだ。今ある演劇がどこから来たか、どうやって変化を遂げて今があるのか、正しく認識できていることは、多少なりとも自分が芝居をする上で役立っていると話す。変化を好む彼女の、人生最大のチャレンジが、連続テレビ小説「マッサン」のオーディションを受けたことだ。とはいえ、合格してみると、毎日がプレッシャーとの闘いだった。

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