動物写真家の岩合光昭さんの世界のを訪ねる旅をお送りする。今回は、イタリア・ローマの猫。

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 イタリアでは、野良猫のことを自由猫「ガット・リベロ」と呼ぶ。猫の自由を認め、共に暮らしてきた長い歴史がそこにはある。

 以前は、コロッセオで、思い思いの時を過ごし、自由を満喫するガット・リベロの姿をよく見かけた。かつての闘技場をしなやかに歩くその姿は、悠久の時の流れを感じさせた。

 皇帝にも剣闘士にも隔てなく、生けるもの死にゆくもの、猫は穏やかに寄り添う。人と猫との優しい時が歴史のなかに刻まれている。

岩合光昭(いわごう・みつあき)
1950年生まれ。動物写真家。NHK BSプレミアムにて「岩合光昭の世界ネコ歩き」放送中。

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週刊朝日 2015年9月4日号

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岩合光昭

岩合光昭

岩合光昭(いわごう・みつあき)/1950年生まれ。動物写真家。1980年雑誌「アサヒグラフ」での連載「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。1982~84年アフリカ・タンザニアのセレンゲティ国立公園に滞在。このとき撮影した写真集『おきて』が全世界でベストセラーに。1986年ライオンの親子の写真が、米「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙に。94年、スノーモンキーの写真で、日本人として唯一、2度目の表紙を飾る。2012年NHK BSプレミアムで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のオンエア開始。著書に『日本のねこみち』『世界のねこみち』『岩合光昭写真集 猫にまた旅』『ふるさとのねこ』『ネコを撮る』『ネコへの恋文』など多数。初監督作品となる映画「ねことじいちゃん」のBlu-rayとDVDが発売中。

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