室井佑月「挑戦者? ゲーマーか?」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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室井佑月「挑戦者? ゲーマーか?」

連載「しがみつく女」

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国民への平和の誓いは…

国民への平和の誓いは…

 この国の代表ならば、この国の平和をいかに維持していくかを語ることこそ、国民への平和の誓いになるのだと思う。安倍談話も、その翌日の全国戦没者追悼式の式辞も、安倍さんにはそこの部分をきちんと語ってほしかった。まして、安倍さんの自慢の祖父は、戦時中閣僚だった岸信介さんなのだし。

 今、多くの国民は、安倍さんの掲げる「積極的平和主義」に懐疑的だ。地球の裏側まで自衛隊を派遣する集団的自衛権の行使や、人を殺すための武器の輸出が、なぜ平和につながるの? それらのことを具体的に説明するには、いい機会ではなかったか?

 安倍さんは談話の中で、

「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」

 という(主語はなし)。その一方で、

「私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます。―中略―その価値を共有する国々と手を携えて、『積極的平和主義』の旗を高く掲げ……」

 ともいう。我が国として、戦争は絶対駄目と思うなら、たとえばこれから先、同盟国が誤った道に進みそうなら、堂々とそれに反対する意向なのか。それとも、同盟国にハブられちゃ不味(まず)いから、なにがなんでも協調路線を歩むのか。

 そんな基本ラインもわからない談話に意味あるの?つーか、挑戦者は戦争するんだ? ゲーマーか?

週刊朝日 2015年9月4日号


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室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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