作家角野栄子かどの・えいこ/1935年、東京都生まれ。早稲田大学卒業。70年、ノンフィクション『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』でデビュー。82年、『大どろぼうブラブラ氏』でサンケイ児童出版文化賞大賞、84年、『わたしのママはしずかさん』などで路傍の石文学賞、『ズボン船長さんの話』で旺文社児童文学賞、『おはいんなさい えりまきに』でサンケイ児童出版文化賞、85年『魔女の宅急便』で野間児童文芸賞、小学館文学賞、IBBYオナーリスト文学賞など多数受賞。2000年、紫綬褒章受章、14年旭日小綬章を受章。近著に『トンネルの森 1945』(角川書店)がある(撮影/写真部・堀内慶太郎)
作家
角野栄子

かどの・えいこ/1935年、東京都生まれ。早稲田大学卒業。70年、ノンフィクション『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』でデビュー。82年、『大どろぼうブラブラ氏』でサンケイ児童出版文化賞大賞、84年、『わたしのママはしずかさん』などで路傍の石文学賞、『ズボン船長さんの話』で旺文社児童文学賞、『おはいんなさい えりまきに』でサンケイ児童出版文化賞、85年『魔女の宅急便』で野間児童文芸賞、小学館文学賞、IBBYオナーリスト文学賞など多数受賞。2000年、紫綬褒章受章、14年旭日小綬章を受章。近著に『トンネルの森 1945』(角川書店)がある(撮影/写真部・堀内慶太郎)

『魔女の宅急便』など、数々のベストセラーで知られる作家・角野栄子さん(80)。同じく作家の林真理子さんとの対談で、ある作品のモデルについて語った。

*  *  *
 
林:子どもの本って難しいですね。大人の知恵でまとめちゃうと、子どもにわかっちゃうと思います。子どもの視点と倫理で書かなきゃいけない。

角野:子どもは正直な読者ですよね。ただ、子どもの物語は必ず大人が書くけど、読むのは子ども。そこらへんがおもしろいと思いますね。

林:私、角野さんのお名前は『魔女の宅急便』で知りましたけど、うちにもありますよ。キキはお嬢さんがモデルって、本当ですか。

角野:娘じゃなくて、彼女が中2のときに描いた絵がモデルなんです。魔女が乗ったほうきの柄にラジオが下がっていて、そこから音符がパーッと飛び出しているという。

林:お嬢さんも、角野さんの作品を読まれたり?

角野:基本的に娘は私の本を読みません。『ファンタジーが生まれるとき』『ブラジル、娘とふたり旅』は彼女が私の文章に絵をつけたので、読んだと思うんですけど。身近すぎてイヤなんだと思うんです。作家の母親と娘って、そういうところがあるんじゃないでしょうかね。

林:うちの娘、ほんとに本を読まないんですよ。

角野:今、本を読まないお子さんがずいぶんいるんじゃないですか。でも、何か好きなことがあればいいですよね。

林:スマホとK‐POPです(笑)。

角野:K‐POPって? あ、韓国のポップスね。

林:ジブリ作品というと「魔女の宅急便」をあげる人が多いですけど、あれは「となりのトトロ」より前でしたっけ?

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