新国立競技場騒動に続いて、またも障害が…(提供:スポーツ振興センター)
新国立競技場騒動に続いて、またも障害が…(提供:スポーツ振興センター)

 東京五輪への道に、またもや障害が現れた。新国立競技場騒動に続いて、今度は大会エンブレムの盗用疑惑。制作者の佐野研二郎氏(43)のイメージが悪化する一方で、デザイン業界からは擁護の声も上がる。

 そもそも、五輪のエンブレムは盗用なのか。

 佐野氏のデザインは「TOKYO」「TEAM」など「T」と、日の丸を連想する丸い円を組み合わせたものだ。縦の黒いラインは、2020年に続く「道」を示し、「=(イコール)」をモチーフにしたパラリンピックのエンブレムと対になっている。

 デザイン評論家の武蔵野美術大学・柏木博教授は、

「リエージュ劇場のロゴとは明らかに構成が違う。パラリンピックのロゴと対でもあり、盗用ではない」

 と断言する。ロゴの下に添えられたアルファベットの書体も違うといい、

「シンプルなデザインは似ていると感じることはある。それを単純に盗用とすると、多くのデザインが該当してしまう。構成、文字の形などのわずかな違いであっても、デザインの世界では、大きな違いです」(柏木教授)

 大手広告会社のデザイナーも同調する。

「サントリーのケースは、クライアントへの提案時に、既存デザインをコピーして使っており手抜き」と指摘しつつも、

「企業の意向に沿った商品ではなく、五輪エンブレムは、まさに自分の『作品』。盗用はあり得ない」

 盗用疑惑を払拭するカギと言えそうなのが、佐野氏自身の会見での、「(エンブレムは)商標をとる前の段階で『もう少し、こうしたほうがいいのではないか』という声があり、何度かブラッシュアップした」という発言だ。

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