田園回帰の流れが…
田園回帰の流れが…

 近年、若者の農山村移住が活発化しているという。明治大学農学部教授(農業経済学、農業・農村政策論)の小田切徳美さんは、その理由をこう解説する。

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 私が初めて子育て世代が祖父母の地元に移り住む孫ターン者の存在に気づいたのは、中国地方で若者の農山村移住(田園回帰)の調査をしているときでした。それ以来、注意深く各地を見てまわると、ぽつぽつと同様の事例に出合いました。

 移住者といえば、一昔前は「よそ者」「変わり者」といったイメージがありました。移住者の形態はどんどん多様化し、最近では団塊世代ではなく、期待されていた子育て世代が目立っています。その候補地のひとつが、かつてお盆や正月に訪ねた、祖父母が住む「田舎」なのです。

 孫ターン者が田舎に行くと、地域コミュニティーの存在に出合います。シニア層が「うっとうしい」と思うような近所づきあいを、「あったかい」と感じられる感覚を持った若者が、孫ターンとして農村に帰っているのです。

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