紫式部も好きだった「エビ」で作られたワインって何? 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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紫式部も好きだった「エビ」で作られたワインって何?

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「海老」ではなく…

「海老」ではなく…

 フード&ワインジャーナリストの鹿取(かとり)みゆきさんが、日本ワインを紹介する。今回は岡山県真庭市の「山葡萄(赤)」。

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 山葡萄はかつて「エビ」と呼ばれていた。艶のある紫や葡萄色をエビイロというのも、奈良時代まで、山葡萄の汁で布を染めていたという話に由来するようだ。平安時代になると美しく高貴な色合いとして、紫式部や清少納言にも愛でられた。山葡萄は、日本人にとって所縁(ゆかり)の深いブドウなのだ。

 岡山県北部にあるワイナリー、ひるぜんワイナリーは、明連谷など周囲の山に自生していたこの山葡萄でワインを造る。黒々とした粒は小さく、つき方もまばらだが、酸味はメルロ種のおよそ3倍、ポリフェノールも9倍ほどある。山葡萄で造るワインは、特有の青臭さが気になるものもあり、業界では「亜流」と見なす人もいる。

 しかし、ひるぜんワイナリーが30年以上かけて、糖度の高いブドウを選び抜いた「山葡萄」を、飲んでほしい。緻密な質感と、わずかに野趣のある香り。色合いと風味、味わいはひときわ濃密だ。葡萄色は懐かしい過去を引き寄せる色ともいわれる。古(いにしえ)の時代に思いを馳せる一杯になるだろう。

(監修・文/鹿取みゆき)

週刊朝日 2015年8月28日号


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