火山に詳しい武蔵野学院大学の島村英紀特任教授は説明する。

「桜島だけでなく、新燃岳でも噴火が続くなど九州では火山活動が活発です。今後、大規模な噴火は避けられません。300度以上の火砕流が時速100キロ以上で流れます。火砕流に巻き込まれれば、原発は制御不能になる可能性がある。万全の備えは不可能です」

 火山噴火は原発の安全審査でも課題だったが、九電は「巨大噴火が運転期間内に起こる可能性は十分に小さい」と主張、原子力規制委員会も妥当とした。火山活動を監視し、巨大噴火の兆候があれば運転を止め、核燃料を運び出すというが、運転停止の基準や核燃料の搬送先は決まっていない。

 だが、そもそも巨大噴火の兆候をとらえられるという見方に専門家は否定的だ。「これまで巨大噴火を予測したケースは世界でもない。噴火は予知できません」(島村特任教授)

 起きてしまってからでは、もはや手遅れだ。

週刊朝日 2015年8月28日号