“社会資本主義”の日本企業 将来は海外移転が増加? (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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“社会資本主義”の日本企業 将来は海外移転が増加?

連載「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

ロンドンから金融機関が逃げていく!?

ロンドンから金融機関が逃げていく!?

 JPモルガンのパリ・オフィスに出張した時は、従業員の多くが「JPモルガンはフランスの銀行だ」と思っていたのに驚いた。彼らは企業名はきちんと覚えていても国籍のほうは覚えていないのだ。ちなみに、その時、私は「自分の会社の国籍ぐらい覚えておけよな」とは言わなかった。

 日本の企業は持ち主が誰だかわからない。企業はひょっとすると経営者のもの、ひょっとすると労働者のもの、ひょっとするとメインバンクのもの、ひょっとすると株主のものなのだ。社会資本主義とでもいえようか。一方、欧米企業の唯一の持ち主は、株主だ。まさに株主資本主義といえる。

 日本企業の純利益が欧米企業に比べて1ケタ2ケタ低いのはその差だと思っている。株主のために利益の極大化を目指す欧米企業と、雇用確保などを第一目的として経営する日本企業とでは利益に大きな差が出るのは致し方ない。

 どちらがいいか悪いかは別として、グローバル社会で競争している以上、いずれは日本企業も、欧米式の株主資本主義に変わらざるを得ないだろう。純利益の小さい企業は競争に敗れ退場を余儀なくされるか、吸収されてしまうからだ。

 日本企業が欧米式の資本主義企業に変わっていくならば、国家もグローバルな法人税率引き下げ競争に参加しなくてはいけなくなる。法人税を低くしないと、日本企業も本店を外国に移してしまうからだ。

週刊朝日 2015年8月21日号


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藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

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