67年に進出した韓国ではホテルなど幅広い事業展開で系列80社余りを擁し、財閥5位に成長した。武雄氏の夫人は3人。宏之氏と昭夫氏は2番目の初子夫人(88)との間の子供で、異母姉、妹が1人ずついる。ロッテ関係者はこう話す。「2人の性格はまったく違う。昭夫氏は社交的でアグレッシブ、宏之氏は経営者というより学者タイプ。今回のような騒動を起こせるような人物ではなく、彼の背後には、昭夫氏が来たことで韓国ロッテから外された親族がいると見ている人は多い。武雄会長もここ2、3年、高齢なため判断力が鈍っていた場面もあった」

 8月4日、ロッテグループの社長団などが日韓で昭夫氏支持を表明した。

「次男に軍配、ゲームは終わった」(前出、韓国全国紙記者)かに見えるが、宏之氏が次の株主総会で反撃に出る可能性もくすぶる。

「街の食堂じゃあるまいし、グローバル企業を経営する還暦を過ぎた人物が90歳を過ぎた父親を盾にやることなのか」(ソウル在住50代会社員)

 韓国市民のあきれ顔はしばらく続きそうだ。

(菅野朋子)

週刊朝日 2015年8月21日号