野球部はPL教団の広告塔的役割を担ってきた歴史があり、KKコンビ(桑田真澄、清原和博)のいた80年代に教団も最盛期を迎えた。その教団が、なぜ野球部の廃部を推し進めるのか。

 まずは現在の教団および学園の深刻な財政難が背景にある。83年に公称265万人(宗教年鑑)だった信者数は激減。信者全員に配られる機関紙の発行部数は現在、7万部という教団教師(布教師)の証言から推察すれば、実際の信者数は数万人程度だろう。

 80年代には定時制も含めて千人以上いた学園の生徒数も大きく減少し、1学年120人の定員に対して、内部進学者をのぞく今年度の高校受験者はわずか28人。現状は甲子園に出場したとしても、往年のようにアルプス席で人文字を作ることはできない。母体が弱体化し、野球部に浄財を投下できないのが実情である。

 問題は、部員やその保護者、あるいはOBたちに説明がいっさいないまま野球部の将来が決められていることだ。その決定権を持つのは、病を抱える3代教主・御木貴日止氏に代わって実権を握る美智代夫人とされている。

 前出の保護者はいう。

「今年、甲子園に行くことができたら、存続の道が開けたかもしれない。入学した段階から実質、監督がいない中で、ベスト8に進出しただけでも3年生は立派ですが……」

 現役部員や保護者、OBがいくら存続を願ったとしても、その声が教団に届く様子は見られない。

週刊朝日 2015年8月14日号