田原総一朗「テロリストの手に核兵器が渡れば『抑止力』は破たんする」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

田原総一朗「テロリストの手に核兵器が渡れば『抑止力』は破たんする」

連載「ギロン堂」

このエントリーをはてなブックマークに追加
原爆ドーム(※イメージ)

原爆ドーム(※イメージ)

 そして「核廃絶」が難しいのは、核には「廃絶」とは矛盾する「抑止力」という機能があるためだ。

 戦後それほど年を経ず、味方であったはずのアメリカとソ連が対立して、にらみ合いがどんどん激しくなった。「米ソ冷戦」である。

 熱い戦い、つまり本物の戦争になってもおかしくなかったのだが、それが「冷戦」となったのは、米ソ両国が核を持っていたからである。

 もしも熱い戦争になれば、当然ながら核戦争になる。そして核爆弾を投下し合えば、両国とも壊滅状態になってしまう。そのことがわかっていたから「冷戦」を続けた、つまり核が「抑止力」の役割をしていたのである。広島・長崎があって「核廃絶」を訴えている日本が、実はアメリカの核の傘で守られているという現実もある。大きな矛盾である。

 しかし、アメリカ、ロシアを含めて核保有国が最も恐れているのは、核がテロリストたちの手に渡ることだ。例えばIS(「イスラム国」)のような、テロを戦略化した集団が核を入手すれば、アメリカを中心に、ISに空爆を行っている国は標的にされるのだ。

 外交の裏舞台の事情通たちによれば、実は現在まで、テロリストたちの手に核が渡っていないのは、むしろ僥倖(ぎょうこう)であり、北朝鮮に限らず、核保有国自体の核管理が危うい状態にあるというのである。オバマ大統領が「核廃絶」を主張したのも、彼自身、核管理の危うさを強く感じ取っているためだという。

 アメリカをはじめとした核保有国は、核廃絶よりも抑止力としての核を優先してしまう。やはり広島・長崎という被爆体験があり、核を持たない日本こそが、世界に向かって「核廃絶」を訴え続けるべきである。

週刊朝日 2015年8月7日号


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい