あの“ゴーストライター騒動”から約1年半。作曲家の新垣隆さんが、作家・林真理子さんとの対談で、佐村河内守さんの依頼をなぜ断れなかったのか、その理由を明かした。
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林:この本(『音楽という<真実>』)読ませていただいて、新垣さんが断れない人だってよくわかりましたよ。私も断って面倒が起きるくらいなら引き受けちゃうタイプなので、似てると思いましたよ。
新垣:林さんもそうなんですか。
林:昔よりは断れるようになりましたけど、親しい人から直接言われたりするとね。「ちょっと顔を出すだけでいいから」とか、いろんな手を使ってくるじゃないですか。
新垣:自分は作曲家なので、曲をつくるほうが断るよりラクなんです。佐村河内(守)さんとのことも、そういう甘さがあったんだと思います。
林:私、「NHKスペシャル」(「魂の旋律~音を失った作曲家~」)を見ましたけど、佐村河内さんがうなったり、頭を壁にガンガンぶつけたり……。
新垣:怪しいですよね。
林:あの番組に感動した人がいると聞いて、不思議で仕方なかったんです。だいたい長髪にサングラスというのが怪しい(笑)。
新垣:わかる方にはわかるんですよね。ただ、それ以上に彼の設定したストーリーに魅かれる人も多かったんだと思います。
※週刊朝日 2015年8月7日号より抜粋