作曲家、ピアニスト新垣隆にいがき・たかし/1970年、東京都生まれ。桐朋学園大学音楽学部卒業。2014年2月、佐村河内守氏のゴーストライターだったことを公表。CDに「N/Y」(吉田隆一氏とのデュオ)、「ロンド」(礒絵里子氏とのデュオ)。著書に『音楽という〈真実〉』。10月15日、紀尾井ホールでコンサート「新垣隆展2015」開催予定(撮影/写真部・植田真紗美)
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作曲家、ピアニスト
新垣隆

にいがき・たかし/1970年、東京都生まれ。桐朋学園大学音楽学部卒業。2014年2月、佐村河内守氏のゴーストライターだったことを公表。CDに「N/Y」(吉田隆一氏とのデュオ)、「ロンド」(礒絵里子氏とのデュオ)。著書に『音楽という〈真実〉』。10月15日、紀尾井ホールでコンサート「新垣隆展2015」開催予定(撮影/写真部・植田真紗美)

 あの“ゴーストライター騒動”から約1年半。作曲家の新垣隆さんが、作家・林真理子さんとの対談で、佐村河内守さんの依頼をなぜ断れなかったのか、その理由を明かした。

*  *  *

林:この本(『音楽という<真実>』)読ませていただいて、新垣さんが断れない人だってよくわかりましたよ。私も断って面倒が起きるくらいなら引き受けちゃうタイプなので、似てると思いましたよ。

新垣:林さんもそうなんですか。

林:昔よりは断れるようになりましたけど、親しい人から直接言われたりするとね。「ちょっと顔を出すだけでいいから」とか、いろんな手を使ってくるじゃないですか。

新垣:自分は作曲家なので、曲をつくるほうが断るよりラクなんです。佐村河内(守)さんとのことも、そういう甘さがあったんだと思います。

林:私、「NHKスペシャル」(「魂の旋律~音を失った作曲家~」)を見ましたけど、佐村河内さんがうなったり、頭を壁にガンガンぶつけたり……。

新垣:怪しいですよね。

林:あの番組に感動した人がいると聞いて、不思議で仕方なかったんです。だいたい長髪にサングラスというのが怪しい(笑)。

新垣:わかる方にはわかるんですよね。ただ、それ以上に彼の設定したストーリーに魅かれる人も多かったんだと思います。

週刊朝日 2015年8月7日号より抜粋