「孫にうつしたくない」と治療を始める人も
「孫にうつしたくない」と治療を始める人も

「爪水虫」とも呼ばれる爪白癬(つめはくせん)は、治療法が増え治しやすい病気になったものの、再発する可能性もある。爪白癬の治療と日常生活で注意すべき点について、帝京大学病院皮膚科科長で教授の渡辺晋一医師に話を聞いた。

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 爪白癬は、国民の10人に1人、1200万人がかかっていると推定されています。命を脅かす病気ではありませんが、厚くなった爪のために痛みで靴が履けないなど、QOL(生活の質)に影響します。また、放置しておくと家族に感染させてしまう可能性があるので、「孫にうつしたくない」という動機で治療を始める方もいます。

 爪は角層が厚く、これまでの水虫の塗り薬では効果が不十分なため、飲み薬で治療してきました。しかし飲み薬は併用できない薬が多く、常用薬の多い中高年では使用できないこともあります。また、飲み薬が効きにくいタイプの爪白癬もあります。昨年、初の塗り薬であるエフィナコナゾールが発売され、内服薬が飲めない、あるいは飲んでも効果が得られなかった患者さんも治療できる機会が増えました。ただ、重症の患者さんに対する効果は今後の検証が必要です。

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