藤巻健史「ユーロはいずれ崩壊するだろう」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

藤巻健史「ユーロはいずれ崩壊するだろう」

連載「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

このエントリーをはてなブックマークに追加
ギリシャの大型スーパーは品薄状態 (c)朝日新聞社 

ギリシャの大型スーパーは品薄状態 (c)朝日新聞社 

 ある地域で同一通貨を使っているのは、その地域が旧通貨を使用しながら為替の固定相場制を敷いているのと同じだ。1ドルをいつでも120円で交換できる固定相場制と、日本と米国がドルと円を廃止して「ドルエ」(仮称)という新しい通貨を流通させるのとは全く同じだ。便宜的にドルエを刷るか否かの差に過ぎない。その意味でユーロは地域固定相場制なのだ。日米が固定相場制を取っていたら、国民は高い金利のドル預金ばかりして円資金市場は消滅するだろう。満期の時に為替で損するリスクがないからだ。それを回避するために日本銀行は経済状況と無関係に円金利をドル金利と同じにしなくてはならない。米国では9月か12月に利上げが予想されているが、日銀はデフレだろうがなんだろうが、円金利を上げなくてはいけないのだ。

 抜本的解決策は、財政を一つにする、すなわち一つの国になることだ。夕張と東京は円という地域共通通貨を使っているのに、夕張の壊滅的な破綻を誰も予想しないのは、東京都と夕張が日本という同じ国で財政が一つだからだ。「勤勉な我々の税金で、なぜ怠け者ギリシャを助けるのだ」と主張するドイツ人が多いと聞くから、ユーロ圏で財政が一つになるのは無理だろう。ユーロはいずれ「壮大なる実験の失敗」という結末を迎えると思う。

 もっともユーロ圏が消滅したとしても、通貨ユーロが無価値になるわけではない。そうだとしたらユーロ圏の人たちは大貧乏になってしまう。ユーロは旧通貨に分解されるだろうが、どういう割合で分解されるかがわからない。8割をドイツマルク、その他を他通貨に分解するなら私は今ユーロを買うし、8割をギリシャ・ドラクマに分解するのなら、私はユーロを売る。その割合がかなり不透明だから、今後とも私はユーロに手を出したくないのだ。

週刊朝日  2015年7月31日号


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい