田原総一朗(撮影/写真部・堀内慶太郎)
田原総一朗
(撮影/写真部・堀内慶太郎)

“独裁”状態だった安倍政権に今後、「乱」は起こるのか。かつて「首相でいる間は趣味の右翼をやめてほしい」と安倍氏に警告したジャーナリストの田原総一朗氏。中東特派員経験から「日本でもテロが起こる」と予言する鳥越俊太郎氏。2人のジャーナリストが徹底討論した。

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田原:安保法制で紛糾する国会で、気になる動きが出てきました。今まで安倍晋三首相を批判してこなかった石破茂地方創生相が、強行採決直前の7月14日の会見で「国民の理解が進んだと言い切る自信はない」と発言した。僕はこれ、もしかすると石破氏が9月の自民党総裁選に出る可能性が出てきたと思う。

鳥越:石破さんがあそこまで言い切ったのは、ちょっと大きいですね。半ば公然と発言したわけですから。

田原:あの発言を受けて、自民党の何人かの幹部が「重大な失言だ」とコメントしていました。それだけショックなんですよ。

鳥越:今後、法案を強行採決すると、支持率はおそらくさらに下がる。30%まで落ちるかもしれない。株価もギリシャとか中国の問題で乱高下していますが、今後、上がっていく目はなく、アベノミクスも落ち目になる。そういう条件がいろいろ重なると、地方の党員が石破さんを支持する可能性がある。

田原:石破氏は今秋の総裁選で勝てるとは思っていないかもしれない。下手をすると、来夏の参院選で自民党が負けるという展開を読んでいるんじゃないかな。そうすると、今秋の総裁選に出ておく必要がある。

鳥越:そこは石破さんの読みですよね。もう諦めて出ないか、最後にもう一回チャレンジするか。「男だろ、体張れよ」と言いたいな。

田原:二階俊博総務会長も新国立競技場などで安倍さんにくぎを刺している。大物が声を上げだして、雰囲気が変わってきたんじゃないか。もう一つのポイントは、石破氏が総裁選に出るとき、小泉進次郎氏がどう動くか。2012年の総裁選でも、進次郎氏は最後まで石破氏支持でした。今回も強行採決後、「これだけ、法案に理解が得られていない原因の一端は自民党にある」と、党の方針を批判した。

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