プロゴルファーの丸山茂樹氏は、逆転優勝で2勝目を挙げた岩田寛選手にエールを送りつつも、あるプレーに苦言を呈する。

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 北の大地から帰って参りました!

 僕の今シーズン初戦となった「長嶋茂雄招待セガサミーカップゴルフトーナメント」(7月2~5日、北海道・ザ・ノースカントリーGC)は、残念ながら3打差で予選落ちでした。

 初日が77、2日目が68の通算1オーバー。試合の週の月曜日に北海道に入って、火、水曜日としっかり練習する予定だったんですけど、大雨で……。

 久々の試合だし、せめていいコンディションでやりたくて、初日の木曜日が晴れるのを祈るばかりでした。それが午前中は穏やかな天候だったんですけど、僕がスタートする午後になって気温がグッと下がり、雨になってしまった。言い訳がましいですけど、シーズンを通して試合に出られていない現状では、なかなか対処が難しかったです。

 2日目は午前スタートで、穏やかな天気の中で回れました。あったかくて、体も思うように動いたんで、60台が出ました。

 実は北海道に入る前から調子は悪くはなくて、「今回は予選落ちはないな」と思ってたんです。でも、言っちゃうと自分の首を絞めますからね。予選を通過して「ほら!」って言いたかったんですけど。

 
 次は「ANAオープン」[9月17~20日、北海道・札幌GC輪厚(わっつ)コース]に出場予定です。この試合までに解説の仕事やプライベートで3度海外へ出るので、なかなかハードスケジュールですけど、しっかり調整して臨みたいですね。

 セガサミーカップはホストプロとしての責任を果たせず、僕は今回も3日目、最終日とテレビのゲスト解説に回っちゃいました。

 優勝したのが岩田寛(34)。最終日は首位と2打差の3位から出て、6バーディー、ノーボギーの通算16アンダー。見事な逆転で、昨年9月のフジサンケイクラシック以来となるツアー通算2勝目を挙げました。

 数年前までは自分のリズムが崩れてくると、集中力が持たなくて自滅しちゃってたんですけど、我慢できるようになりました。プレーを見てると淡泊でやる気のない感じに見えてしまいますけど、ヒロシとしては必死で頑張ってるんです。そこを誤解しないでいただきたいですね。この世の中、優等生ばっかりじゃないですから。

 ただ、最終18番のウイニングパットを「お先」したのは、いただけない。本人に聞いたら、「緊張しちゃうと思ったんで、先に打ちました」と。何とも素直なコメントがヒロシらしいんですけどね。

 ヒロシの目標はずっと米PGAツアーのメンバーになること。昨年11月の米ツアー「HSBCチャンピオンズ」(中国・上海)で3位に入っていて、9月からの下部ツアーとの入れ替え戦に出場できます。ここで25位以内に入れば、晴れてツアーメンバーです。

 飛距離とパワーは一流だし、パッティングもうまい。ちょっと早い話ですが、スキのないコースマネジメントができるようになれば、ヒロシは米ツアーでも成功できると思います。

 さて今週は全英オープン。テレビ朝日系列の解説で、聖地セントアンドルーズへ行って参ります。ジョーダン・スピース(21)=米=のメジャー3連勝はなるか。松山英樹(23)は優勝争いに加われるのか。しっかりお伝えします!

週刊朝日  2015年7月24日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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