一方、独特の外観とエンジンの鼓動感で、多くのライダーを魅了するのは米国製ハーレーダビッドソン。 轟音をうならせ走り去るハーレーは圧巻で、ライダーも中高年層が多い印象をうける。だが、意外にもハーレーのライダーの平均年齢は41歳と国産車より10歳若かった。

「シニア層は横ばいです」(ハーレーダビッドソンジャパン広報)

 値段も張るハーレーだが、購入平均価格帯は100万円台。それでもやはり、40~50代の年齢層には400万~500万円のハーレーが好まれる傾向があるようだ。

 ハーレーを愛した萩原さんの事故死の影響があると思いきや、今も高速道路のサービスエリアの駐輪場は、革のジャンプスーツを身に着けた“おじさん”たちのバイクでいっぱいだ。危ないと知りつつ、なぜ、乗りたがるのか。

「風を切って走る快感。俺は50年ぶりにこの快感を手に入れたと思いました」

 弁護士、河合弘之氏は6年前、65歳で初めて手に入れたハーレーを改造した「トライク」で走ったときの爽快さをそう語る。

 河合氏のバイクへの憧れは高校生時代に始まる。級友たちが乗り回していたスーパーカブを借り、校庭内を走らせたときの爽快感が忘れられなかった。

「でも、当時、私の父はしがないサラリーマンで、バイクなんて買ってもらえるような家庭環境じゃなかった。それで“よし、俺はカネを稼いで、自分のカネでいいバイクを買ってやろう”と誓ったんですよ」

(文 富恵)

週刊朝日 2015年7月24日号より抜粋