今回の公演で沖縄独立論もテーマにしました。「徹子の部屋」を模した舞台で、ゲストのオオタ元知事が独立を訴える。司会者から独立した場合、米軍も自衛隊もいなくてどうやって国を守っていくのかと突っ込まれますが、「その点はご心配なく。沖縄にはたくさん不発弾が埋まってますから、それを武器にすればいいわけです」と答えます。

 沖縄独立というと、そういう具体的な話にならざるを得ないので、昔から居酒屋トークで現実味がないと言われてきました。でも、よく本土との温度差が指摘されるような仕打ちを沖縄が受けた時、やっぱり同じ日本人として見られていないんじゃないか、との思いに駆られる。いま、翁長さんと地元企業が立ち上がって堂々と政府と向き合っている姿に俺たちも共感します。東京や大阪の芸人には絶対にできないネタを、沖縄の芸人として、自分の足で立ってやっているという自負があるからです。

 俺のひいじいちゃんとひいばあちゃんが、沖縄戦で亡くなっているんです。日本統治下の台湾に渡って教師をしていた祖父母が沖縄に戻ると、親戚はみんな死んでいた。オバアたちにとって戦争はいまだ終わっていないのです。戦争を体験していない自分たちにも突っ込みを入れるつもりで、沖縄戦や基地問題にどうしたら関心を持ってもらえるかということに心を砕きながら、芸でお客さんをあおっていきたいと思います。

 5月の県民大会であいさつに立った翁長知事がウチナーグチ(沖縄方言)で締めくくり、拍手喝采を浴びた言葉があります。今回の公演の「子ども電話相談室」のコントで、アベさん自らに言わせています(笑)。

「うちなーんちゅ、うしぇーてぇーないびらんどー(沖縄人を見くびってはいけませんよ)」

週刊朝日 2015年7月24日号