北原みのり「ただのクッキーでいいじゃない」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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北原みのり「ただのクッキーでいいじゃない」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

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気がつくとコーヒーは冷めていて…

気がつくとコーヒーは冷めていて…

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。カフェで偶然耳にした話から、こんなことを感じたという。

*  *  *
 カフェにて。10人も入ればいっぱいの小さな店内に、大きな声で話している先客の男女がいた。気にせず席について、本を広げて読み始めたのだけど、会話のほとんどが女性の一人語りで、声が大きい。いやでも耳に入ってきてしまう。

「要するに、私は人生から逃げたくないの。それは負けることだから」

「勝たなくてもいい。ただ、負けるとわかっている道を歩くべきではないと思う」

 20代後半くらいだろうか。本のタイトルにありそうな会話よね……と思いながら、ときどき男の人が、「でかしたな」と意味不明なあいづちを打っているのが気になってしまう。コーヒーを飲む手が止まり、というか、開いた本の中身がぜんぜん頭に入ってこない。

「そもそも、クッキーは、人生の手段で、目的じゃない。伝えたいことがあるから、私はクッキーを焼いているの」

 どうやら、お菓子屋さんに勤めているようである。


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